ミャンマーで発生したクーデターに関しまして、2021年3月27日(土)に「国軍記念日」を迎え更に事態の悪化が予想されるため、各保険会社より海外旅行保険の補償について、対象となる場合ならない場合等の見解が発表されています。今後情勢が変化し、変更が生じる場合には、改めてご連絡致します。
1.ミャンマーで発生した国軍によるクーデターの概要
ミャンマー国軍が2021年2月1日(月)、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問を拘束し、事実上政権を奪取し、非常事態を宣言しました。
国軍は、政権が国軍トップのミン・アウン・フライン最高司令官に「移譲された」とし、政権を奪取したと発表しています。
2021年3月27日(土)の「国軍記念日」の式典に向けて国軍は市民への弾圧を強める一方、国軍に抗議する市民は新たなデモを呼びかけており、予断を許さない状況が続いています。
2.今回の政権奪取により、補償の対象とならないケースについて
(1)海外旅行保険の保険金の取扱い
上記1.を踏まえ、2021年2月1日(月)に各保険会社では、海外旅行保険の約款上「政権奪取」に該当したと判断しております。これに伴う海外旅行保険の各種保険金の取扱いは以下のとおりとなります。(保険会社によっては、旅行変更費用保険金等の補償項目や、それ以外について取扱いが異なりますのでご注意ください。)
①旅行変更費用保険金 (旅行キャンセル・変更・中途帰国等)
契約日または保険料領収日が2021年1月31日(日)以前と2021年2月1日(月)以降で取扱いが異なり、具体的には以下のとおりとなります。
(a)契約日および保険料領収日が2021年1月31日(日)以前の契約
今回のクーデターに起因し、出国を中止した場合または中途帰国した場合の取消料や帰国費用等は保険金の支払対象となります。
(b)契約日または保険料領収日が2021年2月1日(月)以降の契約
上記(a)に記載の取消料や帰国費用等は保険金の支払対象にはなりません。
②旅行変更費用保険金以外
約款上の免責事由(お支払い出来ない場合)に「政権奪取」を規定している特約について、政権奪取に伴って発生している一連の抗議とその制圧行動に直接関連して生じた各種費用等は支払対象外となります。(「条件付戦争危険担保特約」をセットしている場合は補償されます。)
支払い対象外となる主な保険金の種類
傷害死亡保険金、傷害後遺障害保険金、治療救援費用保険金、疾病死亡保険金、賠償責任保険金、携行品損害保険金、寄託手荷物遅延等費用保険金、航空機遅延費用等保険金
(2)保険期間の自動延長の取扱い
以下の事由に該当する場合には、海外旅行保険普通保険約款第5条に従い、保険責任の終期を下表の通り延長いたします。
・被保険者が乗客として搭乗予定の交通機関のうち、運行時刻が定められているものの遅延、欠航・運休または到着地変更
・被保険者が医師の治療を受けたこと 等
→上記の2つに該当する場合は、72時間を限度に通常遅延すると認められる時間
・日本国外において空港が閉鎖された結果、被保険者がその空港所在国を容易に出国できない状態になったこと
・被保険者が乗客として搭乗している交通機関または被保険者が入場している施設に対する第三者による不法な支配または公権力による拘束 等
→上記2つに該当する場合は、正常な旅行行程に戻るまでに必要な時間
ポイントは、ミャンマーに滞在中ご自身がデモ行為に参加をしていなくても、デモ隊に巻き込まれての事故や、ミャンマー国軍による制圧行動に直接関連して生じた怪我や死亡等は保険の対象にはならないという点です。
今回の政権奪取やデモに全く関係の無い事故や病気は、通常通り補償の対象となります。
現在ミャンマーにご滞在中のお客様は、絶対に巻き添えに遭う可能性のあるエリアには近づかないようにお願いします。