民法改正と保険金額について

2020年(令和2年)4月1日より、改正民法が施行されます。

明治29年の制定以来の大改正となり、法定利率、事項を含め200項目の大改正になります。今回の改正で、法定利率は年5%から3%へ引き下げられ、以後3年ごとに利率の見直しを行う変動制を導入します。

法定利率が変更され、それに伴い賠償の算定基準となるライプニッツが改定、そのことにより逸失利益や後遺障害になった際の将来に渡る介護費用が増加します。

保険を準備される皆様にとって、何がどのように重要なことか、もう少し分かりやすく説明をします。

【法定利率とライプニッツ係数の関係】
事故により死亡・後遺障害等が発生した場合、収入が得られなくなることによる損害(逸失利益)や、長期にわたる介護費用が発生します。こうした「将来に渡って発生する損害」に対する全期間分の補償を一括して受け取った場合、その金額を運用することにより毎年の利息収入が得られます。この毎年発生する利息に相当する額を差し引いた金額を算出するための係数を「ライプニッツ係数」といいます。「ライプニッツ係数」は「法定利率」をもとに算出しているため、「法定利率」が変更となる2020年4月1日以降に発生した事故において適用する「ライプニッツ係数」もあわせて変更となります。

このことにより、労働災害や事故による被害者への災害に対する賠償金は、現在より高額化する可能性があります。

来年4月以降に発生した労働災害について具体的にどの程度の金額が変わるかご説明します。
たとえば、35歳のMさん、扶養者3名が死亡したケースですと、民法改正により逸失利益の計算方法が変わるため
改定前が約6,637万円が改定後は約8,563万円と約2,000万円高額化します。

後遺障害事故のケースだと、これに加えて将来にわたる介護費用も同様に高額化するため2億円の補償でも足りない可能性があります。
また、十分な補償を手当てしていないと和解も難しく長期化する傾向にあるため本業への影響も甚大です。

主に影響を受けるのは、従業員に対する「使用者賠償」、第三者に対する「賠償保険」、自動車保険の「人身傷害保険」などとなり、現在1億円のリミットに設定をされていらっしゃる企業様においては、最低でも3億円、可能であれば「無制限」への移行をお勧めいたします。

補償限度額の増額による保険料の増額シュミレーションについては、いつでもお気軽にご依頼ください。

このように、日本においては国家・社会による補償が不十分な分、民間の企業に対する補償の高額化を要求する傾向にあります。

常日頃からのリスクヘッジはもちろんのことですが、可能な限りは保険によるリスクのアウトソーシングを行っていくことも重要な流れとなっていると思います。

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